週末、仲間と勇気をもって、お互いの領域に踏み込む対話があった。
仲間の声を聴き、それはヒリヒリする危うさがあり、当事者同士は目を合わせて話が
できない緊迫感があった。心にあるが語られなかった言葉が、表に出された瞬間だった。
その声を出していただいた方に、その勇気に感謝だし、その想いをしかと受け止め大切に
したいと想った。
哲学者の納富信留さんの「対話の技法」に、対話する勇気という箇所がある。紹介する。
『対話には危険を伴う、そしてそれに向かう態度、それを乗り越える覚悟や努力が必要に
なる。その勇気には4つの条件がある。第一に、直面し対抗する相手がいる。第二に闇雲
にではなく、何かに向けて勇気を発揮する目的が必要。第三に危険に向き合う際の恐れと
いう感情があり、第四に、それらを正確にとらえる認識が必要。
これらの条件が揃うことで本当に勇気ある人というあり方が成立するのでしょう』。
対話はきれいごとだけではなく、それによって傷つけ合うこともある。相手に痛いところ
を突かれたり、矛盾を指摘されたり、自分が見たくない心の傷を抉られたりするからだ。
自分の心にあるものを表に出すのは怖い、それによって自分も相手も傷つける可能性が
ある。だからぼくらは、オブラートに包んだ言葉で柔らかい会話をしているのだ。
だけど対話は、ときには相手に踏み込む勇気が要る。
だけど大切なのは、腹を割って話すけど相手を尊重する気持ち、
そして、お互いでより良い未来を拓くために対話をしている、その気構えが必要なんだ。