月刊致知感想文
小林國雄春花園BONSAI美術館園主
小林さんは言う、盆栽は生きてる部分と死んでしまった部分が同居していると。
盆栽は何百年も生きる。
幹の一部が枯れて白くなってしまっても、わずかに生きている幹で水を吸い上げ、
そこから出る芽は青々とする。盆栽は時間経過の芸術というそうだ。
時を経て、品格と存在感が内から湧いてくる美しさなのだろう。
小林さんは一億円の値がつく代表作もある。
しかし決して順風満帆な歩みだけではなく裏切り辛酸を嘗めた人生紆余曲折。
小林さんが素敵な人だなぁと感じたのが、城山三郎の言葉を紹介し「人生の幸福なんて、
案外簡単なもの。仕事と良き伴侶の二つを手に入れさえすればいい」。
肝っ玉の座った奥さんに感謝しきれないと。
盆栽作家は、永久に修業を続けこれで良いといい到達点は無いという。
業(ごう)、美に憑かれる業がつくり手になければ美しいものは絶対にできない。
どうしたらもっと良いものができるか、いつもそれを貪欲に探求しているそうだ。
いつまでたっても探求の歩みを止めない。
高みを目指して美しさを求めて、今の自分を越えようともがき続ける。
一歩を踏み続け前進する姿勢こそが、生き甲斐を生むと思う。
小林さんと共鳴してうれしいなと思ったのは、僕が小学生時代に感銘した戦国武将、
山中鹿之助の言葉「願わくは我に七難八苦を与えたまえ」を引用してくれたこと。
苦難や試練が自分を磨き向上させてくれる。だから、ままならない現実に向き合うこと
こそが、生きがいをつくってくれるのだと思う。