平櫛田中に学ぶ(2022年4月号28ページ)
「いまやらねばいつできる わしがやらねばたれがやる」
飛び込んできた力強い書の写真に目を奪われました。
これは98歳の時に彫刻家平櫛田中が書いたものです。99歳の書も凄いです。「不老60 70は鼻垂れ小僧 男盛りは100から 100から」51歳の私、まだまだ、鼻垂れの域にも達しない、へこたれるなと頭をがつんとやられます。
闘志とも言えるこの気力。
どこから湧き上がるものだろうかと、興味深く読み進めました。
「わしがやらねば誰がやる」
この言葉には好きだからやると言うのではない、「使命感」を感じます。
また俺にしかできないと言う、自負心も感じます。
この力強い使命感の根っこにあるものは、結核で自分よりも早く亡くなった子供の存在だろうと思いました。長男は自分と同じ彫刻の道を歩むことを夢見ていたが果たせず、その彼の分まで生きて成し遂げようとした日々の生き様が、平櫛の強い使命感を作っていったのだと感じます。
自分のために生きているだけでは、このような心は作れないでしょう。
「誰かのために生きる」、その心を日々持ち続ける事は簡単なものではありません。
平櫛の言葉に「守拙求心」があります。
拙さを守る。すなわち技巧に走って初心を忘れることなく己の希求する真理を見据えて歩み続ける。
自分の拙さを自覚するからこそ、真理を追い求めていつまでも磨き続けるのでしょう。
私も日々探究心を忘れずに、精進します。