運命を切り拓く力をどう養うか
薬師寺の大谷住職は言う、
「人と人との出逢いは命がけ、命と命の出逢い。よっぽどの縁だと」。
若い頃自分は、人との出会いにそんな気持ちを持つ事はなく、
斜に構えて人を真正面から見ることができなかった。
自分の見たいように人を見る、そして対人関係でうまくいかないことがあれば、
その人が悪いように見えていた。なぜ自分のことを、自分の努力をわかってもらえない
のだろうかと。
確かに、人は命の存在だ。そして不思議な巡り合わせで出会い、また別れていく。
自分が本当に人のご縁に感謝できるようになったのは、自分が苦しくなった時、トンネル
の中をさまよった時だ。その出口に光を見いだすことができたのは、出会った人から
いただいた機会だった。
人に気づきや学びの機会をもたらしてくれる人との出会い、それはよっぽどの縁だ。
以前はそういう特別な人との出会いを求めていた。だけど、人事の仕事に就き多くの人と
接することが増えて、周りにいる普通の人からいろいろ学べるのだと気付かされた。
特別な人ってなんだろうか?知識経験があり、肩書名誉があり、人に影響力を与えるよう
な人。そんな人には、憧れるが、そんな人からだけ学べるのではない。
誰でも自分と違うものを持っていて、懸命に生きる生きたい心を持っていて、違う心を
持つ人から色々学べるのだ。
大谷住職はまた言う。「運命は、命を運ぶ。誰かが運んでいる命」。
自分の命を運ぶハンドルをしっかり握りながら、同時に、自分が大きなものに運ばれて
いるような感覚がある。知らず知らずに運ばれて、よっぽどの出逢いに恵まれていく。
生きて人に出逢うことを、これからも思う存分楽しみたい。愉快な人生へ。