今を置き去りにしない
企業内不正が相変わらず続く社会。人事に身を置くものとして考える。
問題が起きると風土改革が叫ばれる。
風土改革の難しさは、「だれの仕事かはっきりしていない仕事」だろう。
問題が起こったときには注目されるけど、普段は風土改革を専門にやる人はいない。
経営から従業員まであらゆる人の営みで風土は形成されるけど、通常のオペレーション
仕事の領域ではない。
その中でだれが中心に、風土改革を進めたら良いのか?
それは「経営の意思決定者と、現場の痛みをキャッチできる層のコンビネーション」
なのだろう。そして組織開発は、アプローチへの有効な武器となる。
組織の歪みが現れやすい権力構造やランクの低いところ。
弱さと痛みにアンテナを張り意識を向け、組織の中で語られない声なき声を掴むこと
から、適切な風土づくりが始まる。
われわれ人事が現場の声を掴むことは、経営に物申せる力の源泉。
現場で起こっている痛みや弱さの生情報を、労務や産業医など社内の各部署とも連携して
お互いで分かち合うことも人事としては必要。
だけど、現実・現場で起こっている“今”のことはおざなりになりがち。
“未来”へ向けて人を駆り立てる、方針・制度・人財育成は盛んにやるのだけど、
従業員を取り巻く今の状況や気持ちが取り残されがち。
要求される未来と追いついていない現在に、引き裂かれるのが耐えられず、
不正やメンタル不調が問題症状として組織に起こる。
今を置いてけぼりにして、未来の成果を求めすぎない。
ええ塩梅の“折り合い”をつける、それは個人にも、チームにも、会社にも。
ほどほどで、みんなが笑顔になれる妥協点をつくっていこうよ。