望ましいことと正しいこと
いま読んでいる本に感じたこと、
「正しいこと」は必ずしも「望ましいこと」では無いという。
医療現場や組織の問題解決にナラティブ・アプローチ、物語的な発想を取り入れる考えが
ある。例えば、緩和ケアの医療現場で、患者に包み隠さず病状を説明して正しい理解を
促進すること、これが患者を傷つけて大きな心的負担をもたらしてしまう場合がある。
この場合においては説明することが正しいかもしれないが、患者にとって望ましいこと
ではない。ときには正しいことが「倫理的暴力」になるという。
緩和ケアにおけるナラティブ・アプローチでは、人生の語り手としての患者を尊重し、
そのストーリーを医療の中心に置くという道を選択する。患者のストーリーに寄り添い
医療ができるアプローチを考えるのだ。
このナラティブ・アプローチは会社の中でも適応できる。職場で、上司のもつ正しさが、
ときにはメンバーを苦しめている事がある。上司にとっては正しさは1つ、ただ正しさは
人の頭数だけあるものだ。
人それぞれの価値観があり大切にしたいものがあり、自分らしくありたいと生きている。
それぞれの物語がある中で両者にとって望ましいものは何か。両者が重なる物語をともに
探っていく行為が、2人のなかでの正解を見出してくれる。