こにたん、組織開発の日々

2022年4月より組織開発を生業に。始める前から天職の確信

ルワンダ人の信頼は大きな喜びだった

〜読書感想文〜

ルワンダ中央銀行総裁日記 服部正也著」

 

50年前に出された新書のリバイバル。同僚に組織開発の観点からも大変面白いと聞いて手に取った。

 

服部さんは終戦は海軍大尉としてラバウルで迎え、復員後は日本銀行に入行。

ルワンダ中央銀行総裁に着いたのは47歳の時。その後は世界銀行の副総裁にもなった方。

 

男としての胆力、気力に溢れる熱い物語です。

心に残るのは、人への想い。

服部さん曰く「途上国の発展を阻む最大の障害は人の問題であるが、その発展の最大の要素もまた人なのである」。

 

また元海軍大尉らしく「戦に勝つのは兵の強さであり、戦いに負けるのは将の弱さであると固く信じている。どんなに役人が非能率でも、どんなに外国人顧問が無能でも、国民に働きさえあれば必ず発展できると信じ、その前提でルワンダ人農民とルワンダ人商人の自発的努力を動員することを中心に経済再建計画を立てて実行した。」

 

有能な日銀マン、左脳はバリバリ。中央銀行総裁として財政金融問題だけでは無く、国の経済的社会的発展も考える視座の高さ。中央銀行の帳面を何と総裁自らがつける実務家能力。また大義を貫き、当時は植民地時代の旧宗主国、外国商人や外国人顧問がはびこっていたが、彼らの利己的態度、職業能力の低さにも敢然と立ち向かい、ルワンダ国民の為を貫く。

 

ルワンダを離れるときの大蔵大臣送別の辞、

「あなたはルワンダ国民とその関心事等を知るため、外国人から引き出すことをせず直接ルワンダ人に聞いた。多くの技術援助員の考え方やその作業を毒する偏見に煩わされることなく、あなたはルワンダ人に相談してその意見を聞いた。あなたの基本的態度はルワンダ国民のために働くのであるからまずルワンダ人にその望むところを聞かなければならないと言うことでした。」

 

またある外国人は「あなたが教えてくれた事はNoといってもルワンダ人と友人になれる事」。

 

自分の仕事がルワンダの人の幸福に直接つながる、その大義の為に、軸をぶらさずに仕事に邁進する強さ。だからこそ、ルワンダ人から大きな信頼を得たのだろう。

 

服部さんは「途上国のいちばん乏しい資源は能力がある人」と言う。

 

われわれ日本は教育により、一定水準以上の能力は持っている。

しかしながら、その能力を活かしきるのは「大義と人への期待」だと感じた。

 

外国人はルワンダ人を見下し能力がないものと決めつけていたが、服部さんはルワンダ人にも能力があるのではないかと言う目で接し、今まで気づかなかった能力がわかるようになった、と言う。

 

大きなものに生き、誰の為に役に立つべきかを真摯に探求する人生。

その積み重ねが、人を磨くのだと改めて信ずる。