先日紹介した宇田川元一さんの本より、
『対話について重要な概念を提示した哲学者のマルティン・ブーバーは、人間同士の関係性について、大きく2つに分類しました。ひとつは「私とそれ」の関係性であり、もうひとつは「私とあなた」の関係性です。』
私とそれ、
なんだか冷たい響きですね。それは向き合う相手を、自分の道具のように捉える関係性。
お店の店員に対して、仕入の取引先に対して、要望を言えば商品・サービスを提供してくれる、自分に礼儀や敬意を払ってくれる、そういった相手に対して「道具的な応答」を期待する関係性が「それ」だ。
これがいつも悪いわけではない。
お金を払い、機能・サービス提供の見返りを求める関係性。
この関係性の中で、いちいち相手に対して「あなた」とまで考えずに、効率的に済ませられるスムーズさがある。
だけど組織の中で、人を「それ」と扱うことが常態化してないか。
自分が個人として尊重されていないと思う時、そんな組織は冷たく居心地が悪い。
他方、「私とあなた」の関係性では、相手の存在を代わりが無いものとする。
また宇田川さんの、リーダーについての一節に感じいった。
『「リーダーシップ」の不快さがどこか残されていることも知っています。
部下を「正しい言葉」で平手打ちしたときの不快感、上に立つ人間なのだから、自分だけは特別扱いを受けて当然であると言うことへの違和感、そういったものは、いくら論理的に正しくても、私たち自身に常に語りかけてきています。』
「奢ることなかれ、人を人として見よ」
自分が組織でどんな役割を務めようと、そのことを心に戒めておきたい。