こにたん、組織開発の日々

2022年4月より組織開発を生業に。始める前から天職の確信

内にある言葉

 

読書ノート「生きる哲学」若松英輔より

 

出会うべき言葉は私たちの内にある。

分かると言う事は変わるということだ。

ある出来事にふれ、真にわかったとき人は、どこかで変貌しているのである。

 

新しく知るという事は無い、とプラトンはいう。

人間が知らなくてはならないことは全てその魂に宿っている。より正確に言えば、魂を

扉にした「真実在」界と呼ぶべき世界にすでに存在していると考える。

 

出会うべき言葉は誰もが、すでに自分の手に握り締めているということになる。

生きるとは、自分の中にすでにあって、見失っている言葉と出会うための道程だとも

言えるのかもしれない。だが、その言葉は、必ずしも言語の姿をしているとは限らない。

奇妙に聞こえるかもしれないが本当だ。

言語は、無尽にある言葉の一形態に過ぎない。このことは、言葉と言う表現を意味の塊と

置き換えるとよくわかる。私たちは日常生活の様々なところで意味を感じている。

 

朝、日が昇るのを見て美しいと思う。それにとどまらず、ある充実を感じる。

あるいは深い畏敬の念に包まれる人もいるかもしれない。雨の中にたたずむ時、静かな

大地の蠢きを感じる者もいるだろう。鳥のさえずり、川の流れ、私たちは万物の動きに

意味を感じることができる。逆の言い方をすれば、世界は人間に読み解かれるのを待って

いるようにさまざまな意味を語っている。