内側から観る
植物状態患者の看護にまつわる本を読んでいる。
人と人との関わり合いを深く考えさせるものだ。
患者の多くは、言語的コミニュケーションが困難で、声を出せても意味を持った表現と
して言葉を受け止められなかったり様々な困難がある。お世話する看護師は、患者たちも
はっきりと言葉や身振りで表現することのできない訴えを、受け止めながら看護をして
いる。
言葉に依らない、患者のわずかな動きに基づくコミニケーション、
例えば瞬きや視線や身体のこわばりによって、言葉のない、はっきりとは見てとることの
できない交流、触れ合いが行われている。
普段問題なく、言語的コミニケーションをしている自分からすると、これは究極の非言語
の世界だ。こういった世界で看護師が患者の振る舞いの意味を読み取るには、患者を外側
から観察する突き放した態度ではわからないそうだ。
看護師と患者の間で、患者を客体として見るという"外側に置いた関係性"では、相手の
理解に近づけないという。その患者の表情、見ること、聞くこと、そして語ること、
これを読み取ろうとする看護師の方々は、相手の内側に入ってその人を理解しようとして
いるのではないか。
まだ読了の途中、心に響きながら静かに読みすすめている。