専門家としてより良い組織づくりを行うためにまず始めるのが、組織の現状を見立てる
ための情報収集。そこから組織の課題を見出そうとする。手法としては組織サーベイや
当事者へインタビューを行う。様々な角度から現場の声を表に出していくことが、組織の
姿を把握するのに重要となる。
組織に属する人にとって、どのように組織を捉えているかは人それぞれだ。
その人にとっての捉え方、認知の世界は違う。例えば、周りは敵ばかりと思うか、
味方がいると思える組織か、このスタートラインが違うと、人が認知する世界観は
大きく異なるだろう。
不安と恐怖からスタートする関係性の組織にいるのか、または安心からスタートする信頼
と助け合いがある関係性の組織にいるのか。人の認知の枠組みは関係性の中から紡ぎださ
れる。
現状を見立てるインタビューは多くの人と行う。少数の特定のポジションの人の声だけ
では世界の一部しか見えない、限られた人の認知の枠組みから見た世界となってしまう。
多くの人の声を聞く。複眼からの多様な視点を支援者は取り入れ、世界の全体像を把握
しようとする。
支援者が持つべき大切な前提は「人への信頼」だと信じる。
この世界は安全で味方がいて助け合える仲間がいる、未来を共に創れる、
そのように信じられる心の力があることだと思う。
支援者が疑いや相互不信から始まると、支援現場と共に創るエネルギーは生み出せない。
現場の声を拾うと、人間不信、相互理解の欠如、周りを敵とみなす認知にも出会う。
そんな思いを持つ人に対しては、「そう思うようになったことには、その人なりの理由が
ある」と考え、その背景と原因を探っていく。
人は必ず変われる、他者との信頼関係を紡いでいける。
それが人間に、そもそも備わっている力だと想うから。