入っていく
真に「生きがい」とは何かを知ろうとするものは、
人々の中へと入って行かなくてはならない。
それを教えてくれる、神谷美恵子著「生きがい」より
生きがいということばは、日本語だけにあるらしい。
こういうことばがあるということは日本人の心の生活のなかで、生きる目的や意味や
価値が問題にされて来たことを示すものであろう。
君は決して無用者ではないのだ。君にはどうしても生きていてもらわなければ困る。
君でなくてはできないことがあるのだ。
ほら、ここに君の手を、君の存在を、待っているものがある。
ーーもしこういうよびかけがなんらかの「出会い」を通して、彼の心にまっすぐ響いて
くるならば、彼はハッと目覚めて、全身でその声をうけとめるであろう。
もし心のなかにすべてを圧倒するような、強い、いきいきとしたよろこびが、
「腹の底から」、すなわち存在の根底から湧きあがったたとしたら、
これこそ生きがい感の最もそぼくな形のものと考えてよかろう。